ジャグリングのピルエットとは?

道具(ボール、クラブ、リング、シガー、ディアボロ、デビルスティックなど)を投げ上げている間に自分が回転する技、これが日本ではピルエットと呼ばれています。海外では主に360°(スリーハンドレッドシックスティ=1回転のこと)やスピンと呼ばれています。

ピルエットの数え方

1 Single Pirouette (シングルピルエット)
2 Double Pirouettes (ダブルピルエット)
3 Triple Pirouettes (トリプルピルエット)
4 Quadruple Pirouettes (クアドラプルピルエット)
5 Quintuple Pirouettes (クインタプルピルエット)
6 Sextuple Pirouettes (セクスタプルピルエット)
7 Septuple Pirouettes (セプタプルピルエット)
8 Octuple Pirouettes (オクタプルピルエット)
9 Nonuple Pirouettes (ノナプルピルエット)
10 Decuple Pirouettes (デカプルピルエット)

ピルエットを数えるときには倍数詞を使います。海外ではシングルなら360°、ダブルなら720°と言ったり、単純に1スピン、2スピンといった感じ。

ジャグリングのピルエットとダンスのピルエットの違い

このサイトで扱うのはジャグラーのためのピルエットです。本来のピルエットはバレエなどのダンステクニックで、フォームや回り方等が違います。ちなみにジャグリングのピルエットとダンスのピルエットとの違いは、

  • ジャグリングのピルエット:左足軸+左周り or 右足軸+右周り
  • ダンスのピルエット   :左足軸+右周り or 右足軸+左周り

ユニークな道具でユニークなパフォーマンスをする

ユニークなジャグリング道具を使うことで、ユニークなパフォーマンスができるようになります。

これはYOSHIさんのように座布団をジャグリングしろとかタカシェンカさんのように三角形を投げろ、という意味だけではありません。例えばボールに限っても、ビーンバッグ、ロシアンボール、シリコンボールなど多くの種類があり、それぞれ長所と短所があります。

自分のボールは手作りで、もともとはシンクロニシティが使っているボール。シンクロニシティのチャチャさんに(かなりしつこく)お願いして作ってもらったのが始まりです。そこから改良を加えて中身を少し抜いたものが自分が使っているボール。中身が少ないと投げにくく、ボールの動きが速い技はやりにくくなりますが、落としにくくなり、ボディスローや2イン1フットなどストール系の技がやりやすくなります。

ボールに限らず他の道具にも同じことが言えます。道具に特徴があれば、パフォーマンスの差別化がしやすくなるでしょう。

ミスは1分間に1ドロップ以内に抑える

ジャグリング(特にボールやクラブなどのトス・ジャグリング)は総じてミスをしやすいパフォーマンスです。さらに、ジャグリングのミス(=道具を落とす)は分かりやすいという欠点もあります。玄人はこのことをよくわかっているのでミスには寛容ですが、素人はそういう事情を知りませんから気をつけないといけません。

道具にもよりますが、だいたい1分間に1ドロップ以上になると、ジャグラーから見てもミスが多いなと感じ始めます。

ミスをしない、ミスを減らすというのは当然のことですが、これが本番でできる人は多くありません。ミスを減らすには才能やクリエイティビティは必要ありません。練習さえすれば誰でもできます。さらに、ミスが少ないことは道具に限らず必ず評価されますから、パフォーマンスをつくる上で是非取り組んでほしいところ。

難しい技を減らす

ルーチンは難しい技が多くてミスが少ないのが理想ですが、現実的には「難しい技が多いがミスも多いルーチン」にするか「ミスは少ないが簡単なルーチン」にするか、ジレンマがあります。ほとんどの場合、本番では自分が思っているほど上手くいかないので「ミスは少ないが簡単なルーチン」を心がけるとちょうどよくなります。

さらに、パフォーマンスでは常に難しい技をくりだす必要はありません。簡単な技があるおかげで緩急がつき、難しい技が引き立ちます。構成を上手くすれば、難易度の高い技が少なくても十分盛り上がるパフォーマンスができます。

決めるところで決める

せっかく盛り上がってるときにミスがあると非常にもったいないです。たとえ簡単な技でも絶対に決めたいパートは練習のウェイトを増やしましょう。特に一番最初の拍手ポイントは「つかみ」なので絶対に決めたいところ。決めるところで決めれば全体的なミスの印象が薄まります。

といっても自分もJJF2007では絶対にミスしたくなかったボディスローの6ウェイズと4回転ピルエットでミスしてしまいましたが。

ドロップの概念をかえる

Wes Pedenはパフォーマンス中にわざと道具を落とすことがありますが、こうすると「道具が床に落ちることは普通なんだ」と観客に印象付けられます。なので、本当にミスして落としたときにミスの印象を薄めることができます。(Wes Pedenがこれを意図的にやっているのかどうかは不明)

本番で緊張しない3つのコツ:練習・準備・経験

本番でうまくいかなくても、「自分は本番に弱いなあ」と自暴自棄になる必要はありません。個人差はありますが、人間は慣れない環境下では緊張してしまうものです。自分もとりわけ本番に強いわけではありません。本番での緊張を和らげるコツは3つ:練習する、準備する、経験する、です。

練習する

当然のことですが、練習すればするほど緊張しなくなります。本番で緊張しないようにするには技の練習だけでなく、体の動き、表情も合わせたルーチンの通し練をする必要があります。技の動き、体の動き、表情の作り方、すべてを体に覚えさせ、本番で慣れない動きがないようにします。

準備する

「準備する」は「練習する」と少し違い、予期せぬ事態に備えることを意味します。本番では何が起こるか分かりません。例えば「開始早々ミスを連発してしまった」「ディアボロがステージの外に転がっていった」「照明が思ったより眩しい」「音響トラブル」などなど。

「準備する」でも通し練が非常に大事です。本番ではパフォーマンスが開始したら途中でやり直すことはできません。練習で開始早々ミスしたので最初からやり直す、といった練習方法では、本番でそうなってしまったときに心の準備ができてないので動揺してしまいます。

別の例をあげれば、もしディアボロがステージの外に転がっていった場合、そのディアボロを拾ってパフォーマンスを再開するのか、それとも予備のディアボロを使うのか。通し練を何度もして、ミスしたときや不測の事態に臨機応変に対応できるようにしましょう。

道具が見えにくい夜、足場の悪い場所、通行人が多いところなど色々な環境で通し練することで、この「準備力」を高めることができます。

経験する

最後の「経験する」は人前でジャグリングを披露する経験です。経験を積むほど緊張しなくなります。環境は本番に近ければ近いほどいいですが、以下の要素を考慮するとより経験値が上がります。

  • 観客の人数:多い方が緊張する
  • 客層:素人よりも玄人(ジャグラー)に見られる方が緊張する
  • パフォーマンス場所:大道芸(ストリート)よりもステージの方が緊張する

ただしこの「経験する」は、環境に恵まれていないとなかなか実践できません。環境が限られている方はそのぶん練習と準備で補うようにしましょう。自分は幸いジャグリングサークルに所属しておりパフォーマンスの場は多くありましたが、それでもステージ経験は数えるほどでした。

通し練習をする

通し練習とは、ルーチンを最初から最後まで、本番のように止まることなく通しで練習すること。通し練習をすることで、本番で緊張しにくくなり、甲斐性がつき、ルーチンの完成度が上がります。

ルーチンがまだ出来上がっていない状態でも通し練習をするようにし、本番直前には個々の技の練習よりも通し練習に時間をさくようにしましょう。以下の2つを心がけるとなおよし。

色々な環境で練習する

本番は練習と環境が違うのは当然で、だいたいの場合は練習よりも悪い環境になります。よくあるのは「照明がまぶしい」ことと「観客がいる」こと。この練習環境と本番環境の違いは本番で緊張してしまう要因になるので、1つの場所だけで練習せず色々な環境で通し練習して、本番に備えることをオススメします。

例えば、直射日光のある眩しいところ、床のコンディションが良くないところ、天井がないところ(屋外)、夜間など暗いところ。物理的な環境だけでなく、自分のコンディションが普段と違うとき(寝起き、手足が冷えているとき、汗をかいているときなど)に通し練習するのも効果的です。

動画で確認する

自分が思っている動きと実際やっている動きはだいたい違っています。たとえばポーズで長めに止まっていると思ったら意外と短かったり、ゆっくり動いていると思ったら焦って動いていたり。ときどき自分のルーチンを動画にとって、おかしい動きはないかチェックするようにしましょう。何度も繰り返していくうちに自分のイメージと実際の動きが合うようになります。

練習では本番の10倍出来るようにする

「技が安定している」とは、本番でその技をやって成功するということです。当時、ジャグリングドーナツでは「練習で本番の10倍が余裕で出来るなら安定している」と言われていました。例えば本番で5ボールを20キャッチ見せたいなら、練習では200キャッチ(あるいは20キャッチx10回)が余裕でできるくらいでないといけません。本番では人に見られて緊張したり、環境も普段と違ったり、思いも寄らないハプニングが起こったりするので、10倍程度余裕をみておくと良いというのが経験則から生まれたものと思います。自分の感覚的にもこの10倍ルールはおおよそ正しいと感じます。

この「10倍ルール」はルーチンを1つの技と捉えれば、ルーチンにも同じことが言えます。例えばルーチンを10回通し練したとき、合計何回ミスがありますか?JJF2007直前の自分の場合、ルーチンを10回通し練すると、おおよそノーミスが6回、1ミスが3回、2ミスが1回という感じでした。これだとルーチン全体が安定しているとは言えません。実際、JJFチャンピオンシップ本番では3ミス(うち2ドロップ)でした。

拍手の基礎

拍手は観客とのコミュニケーションであり、拍手をコントロールできるようになればパフォーマンスがより一層盛り上がるようになります。

王道のルーチンでは、道具をいったん回収して(ポーズをとって)拍手をもらう「拍手ポイント」をいくつか作ります。拍手ポイントは前半多めで後半少なめにすると、前半ゆったりとしたペースで進め、後半に畳み掛ける感じが出るので良いです。

「つかみ」は大事

お笑いや大道芸で最初の「つかみ」が非常に大事であるように、ジャグリングルーチンでも最初の拍手ポイントは非常に大切。分かりやすく、拍手しやすく、そしてミスしないようにしなくてはいけません。拍手しやすくするには、(1)長めにポーズをとることと(2)しっかり止まることが必要です。

(1)長めにポーズをとって拍手しやすくする

ポーズが短めになってしまいがちな理由は2つあり、

  • 本番で緊張して焦っている
  • 観客が拍手し始めるタイミングが自分が思っているより遅い

観客がジャグリング未経験であればあるほど、パフォーマンスを見慣れていないので拍手し始めるのが遅くなります。拍手しようかなと思ったらパフォーマーがもう動き出していた、、ということはよくあります。ちょっと長いかな、と思うくらい気持ち長めにポーズするとちょうど良くなります。

(2)しっかり止まって拍手しやすくする

拍手ポイントなのに体がふらついていたり腕や足がまだ動いていたりすると観客はどこで拍手していいか戸惑ってしまいます。しっかり止まるには筋肉も使いますし、練習も必要です。そして、動いていたもの(曲、体、道具)が一気に止まると、視覚的にも聴覚的にも分かりやすくさらに拍手しやすくなります。道具をキャッチするだけだと「道具:動→静」ですが「体:静→静」なので止まり具合が弱まります。

オリジナル技はルーチンに3つ入れる

JJFのように観客にジャグリング経験者が多い場合、自分のオリジナル技やほとんどやっている人がいない技を入れると非常に効果的で盛り上がります。6分間の演技なら2つか3つの異なる種類のオリジナル技があれば十分な盛り上がりを確保できるでしょう。

そして、オリジナル技からさらにもう1段階難しさをアップした技があればなお良しです。自分の場合、2007年のJJFではネック(首のまわり)シャワーから足の下を通すという流れを見せました。(当時はネックシャワーをやっている人はいませんでした)

ただし、誰もやっていない技=評価されるオリジナリティではありません。誰もがやる技というのは総じてコストパフォーマンス(練習に対する技の見た目)が良いからであり、誰もやらない技の多くは見栄えがしなかったり、分かりにくかったり、見た目のわりに難しすぎたり、というようにデメリットがあるものです。

もしオリジナル技を思いついたら、まずはジャグリング非経験者が見ても面白いかどうかを確認するといいでしょう。

技、動き、曲、すべてを面白くする

ルーチンを考えるときは技に力を入れがちになりますが、体の動きにもバリエーションがあるとルーチンが面白くなります。動きのバリエーションとしてはしゃがむ、横や後ろを向く、膝立ちする、ぐるっと回りながら技をする、走るなど。特に玄人以外の一般的な人にとって、道具の動きと同じくらいに体の動きで印象が変わってきます。体の動きが面白いかチェックするには、一度自分のルーチンを道具なしで通してビデオで確認します。3ボールやディアボロの場合、確認してみたらルーチン中ずっと棒立ちだった、なんてこともあります。

同じように単調な曲を使うのは極力避けましょう。曲だけ聞いてみたとき、6分間も同じ曲を飽きずに聞くのはなかなかつらいです。王道は2曲構成で雰囲気の一貫性は保ちつつ違うテンポの曲。

技、動き、曲をそれぞれ個別にみて全てが面白くなるようにすれば、出来上がったルーチンもおのずと面白くなります。

パフォーマンスの構成は分かりやすくする

パフォーマンスは長ければ長いほど、(自分が思っている以上に)観客は見るのに飽きてしまいます。3分程度のルーチンならあまり意識する必要はありませんが、JJFのように6分間も演技する場合にはいかに観客を飽きさせないようにするか、考えなくてはいけません。構成が分かりやすいパフォーマンスは観客も理解でき、何が起こっているか分かってより集中して見てくれます。例えば道具の数が徐々に増えていくナンバーズやディアボロのルーチンは構成がわかりやすく、5、6分パフォーマンスしても見るに耐えるものになりやすいです。一方、3ボール、ポイ、コンタクトなどは緩急をつけるのが難しくなります。ボールの数が3個から5個に増えればジャグリングを知らない人でも分かりますが、バッククロスとビハインド・ザ・ネックの違いはほとんど伝わらないでしょう。

自分のJJF2007のルーチンは前半が基本的に簡単でゆっくりな技、後半は難しめのボディスローとピルエットという構成でした。JJFの観客は多くがジャグリングをやっている人ですが、みんながボールジャグリングに詳しい、ディアボロに詳しいというわけではありませんから、常にジャグリングを知らない人に向けて構成を考えるのが理想的です。

余談ですが大道芸のように20分〜30分演技するような場合はさらにキャラクターやストーリーを付け加える必要があるでしょう。